研究・開発職に内定を貰うために - 【博士卒が教える】理系のための就活術

研究・開発は人気の職種

理系の皆さんが目指す職種で一番多いのはやはり研究・開発職（一部では総合職）ではないでしょうか？

同じ会社でも給与が高く、テーマを達成した時のやりがいなどから人気の職種です。

しかし、人気があるぶん倍率が高いのも事実です。

そのため、研究・開発職に内定をもらうためには学生時代に何を学べばいいかを知り、それを就活でアピールすることが重要になります。

さて、突然ですが『企業（の研究・開発）が新入社員に求めるもの』は何でしょうか？

研究なんだし、専門的な知識・技術でしょ！

と答えた人……大きな間違いです。

では、企業が新入社員に求めるものは何か？

それは経験です。

経験？

そんなの役に立つの？

確かに、知識や技術は持っていれば大きな強みになります。

しかし、どれだけ大学で専門的に学んだとしても、自分が所属していた研究室と全く同じ研究を行っている企業はありません。そのため、研究テーマに沿った知識や技術というのは、入社後に学ぶことがほとんどです。

つまり、企業からしたら学生時代に学んできた専門的な知識はほとんど役に立たないわけです。

また、大学とは違って企業研究では研究テーマ（分野そのもの）が変わることも珍しくありません。

様々な研究テーマを扱う企業においては、一つの専門的知識よりも、研究遂行能力やテーマ立案力・問題解決力といったどの研究テーマにも汎用的な使える能力を持つ学生を欲しています。

では、研究遂行能力やテーマ立案力・問題解決力といった『研究汎用能力』を培うにはどうすればいいか？

国際論文などの先行研究から正確な情報を収集し、研究の展開を組み立てる。時には後輩の指導を行い、様々なテーマにおいて問題の解決策を模索することも能力の養成に繋がります。

つまり、研究汎用能力を培うにはいかに長い時間研究に触れてきたかが重要となります。

下の図は、一般的な学生の卒業チャートです（研究室配属は国立大学に多い3年後期）。

学部卒であれば、卒業までに1年半という期間を研究室で過ごすことになります。

しかし、この『1年半』は研究汎用能力を培うにはあまりにも短いのです。

と言うのも、学生には配属・就活・卒業というイベントが入ってきます。

配属直後は右も左も分からず、研究というよりかは教員や先輩に言われたことをやるだけの作業が大半です。そしてある程度慣れてきた頃に、今度は就活という一大イベントがやってきます。

4年次の5月頃に就活が終わると、ようやく研究に取り掛かります。卒業まで約10か月間……と思いきや12月頃には学位論文の作成に取り掛かるため、実質的な研究期間は約半年。

全く話になりません(*^▽^*)

学部卒に比べ、修士は追加で2年、博士に関してはさらに3~4年と、じっくりと研究に取り組む期間が増えます。

また、後輩の指導や学会発表など、実験技術だけでなく知識や思考においても『研究汎用能力』を必然的に培うことができます。

企業に入るとどうしても業務に追われ、人に教えたり勉強したりというのはどうしても難しくなるため、企業としては学生の内に指導力や視野が磨かれているかを重要視しています。

そのため、多くの企業は研究・開発には最低でも修士を条件としているのです。

製薬企業は給料が高いし、福利厚生も良いのに修士の募集が少ないんだけど…

多くの企業は研究・開発に修士を条件としていますが、製薬業界では博士を条件とする企業も少なくありません。

と言うのも、皆さんがよく使う薬は、安全性の観点から様々な試験や審査を経る必要があります。

しかし、薬という性質から安全性における審査はとても厳しく、1個の新薬を上市するために10年以上の歳月と数百億円の投資が必要となります。

他業界のメーカーとは比べ物にならないくらいの投資が必要であることから、製薬業界では失敗というのは許されません（テーマの事業化に失敗すると出世コースから外れます）。そのため、製薬業界ではより高い研究汎用能力を持つ博士を条件としています。