ガクチカはESで最も重要
学生時代に力を入れたことと言う設問を略してガクチカと言います。
どこの企業のESにもある設問であり、最も自分をアピールすることができます。また、企業からしても学生のことを最も知ることができるため、ESの中では最も重要度の高い設問です。
自分のアピールポイントをしっかり伝えられるよう、文章を何度も推敲して書くようにしましょう。
ガクチカって何を書けばいい?
学生時代に力を入れたことって言われても、思い当たらないんだけど!?
と思う方が多いかと思いますが、ガクチカを初めて書く就活生の9割はこの壁にぶち当たっています。
そもそも、人生において初めから『頑張ろう!』と思ってやることなんて、一生に数回あるかどうか。特に一人暮らしやアルバイトで自由が広がる大学生にとって、遊ぶほうがどうしてもメインになってしまうはず……。
でも、それでいいんです。
むしろ企業としては、そういった自由な時間にどんなことをして、どんなことを学べたかを知りたいのです。
で、結局何を書けばいいの?
ガクチカに悩んでるのであれば、とりあえず『一番時間を使ったこと』or『一番お金を使ったこと』のを考えてみてください(一番でなくてもいいです)。また、趣味などと重ねても問題ありません。
よくあるガクチカ
- 旅行
- 部活・サークル
- アルバイト
- ボランティア活動
- 勉強(TOEIC・資格など)
意外と使えるガクチカ
- 創作(イラスト・小説など)
- プログラミング
- 車・バイク
- 料理
- 外食
2~3個くらい思いついたら、この続きを読んでガクチカに書く内容を考えてみましょう。
ただし、書く前に以下の要件はチェックしておきましょう。
ガクチカに研究はあり?
研究を頑張った人
修士課程で研究を頑張りました!
と胸を張って言いたいところですが、残念ながらなしです。
と言うのも、研究・開発職にエントリーする人の多くは修士以上ですが、みんな何のために大学院に進学したのだと思いますか?
勿論、学歴ロンダリングであったり、就職後の待遇が良くなるからと言う人もいると思います。しかし、一般的には研究をするために大学院に進学するわけです。大学院が研究に励む場所と考えれば、研究を頑張るというのは当たり前なわけです。
企業は『学校に行って勉強を頑張りました!』と言う幼稚な回答を求めているのではなく、そこで勉強以外に何を学んだかを知りたいのです。
学会で賞をもらった人・論文を投稿した人
学会で賞を貰ったんですけど、それならガクチカに書けますよね?
と思いたいところですが、学会で受賞しようが、論文を投稿しようが、ガクチカに研究を書くことはお勧めできません。
学会で賞をもらうのは確かに成果ではあり、研究室内で見ると『受賞=すごい』というイメージが強いと思います。しかし、全分野を合わせた学会の数はとても多く、そのため、全国規模でみれば受賞経験のある学生は大勢います。
論文投稿も同様で、研究室内では珍しいかもしれません。しかし、奨学金免除などにも関わってくることから、修士の学生でも数報出しているということもあまり珍しくはありません。
そう考えると、受賞や論文投稿はアピールするにはやや弱い印象を受けます。
実際に書いてみた結果
自慢するわけではないですが、僕は修士2年間と博士3年間の計5年間で、10件の受賞と3報の国際論文投稿をしています。
そのため、就活の序盤では自信を持ってガクチカに研究を書いていたわけです。
ガクチカに研究を書いていてもESが通ることは通るのですが、面接で成果について深堀されたことは一度もありません。むしろ『研究を頑張ったんですねー』くらいでサラッと流さます。
そして
学業以外に頑張ったことはありますか?
と言う質問が来ます。
ガクチカに研究を書いた3社全てにこの質問をされました。以来、ガクチカに研究を書くのをやめたわけです。
自分で実際に書いてみた結果、企業は研究以外のガクチカを求めているのだと実感しました。第一三共や日清なんかは設問の時点で『学業以外に』という指定もあるくらいなので、やはりガクチカには研究以外のことを書くようにしましょう。
研究が絶対になしというわけではない
就活生の中には、アカデミア(大学教員)を目指して、他の何を犠牲にしてでも研究をやってきたという方もいるかと思います。
そういう、本当に研究以外に思い浮かばないという人は研究を書くのもありだと思います。上に書いたように、僕の場合もガクチカに研究を書いて、ESは通過したため、ガクチカに研究を書くと落ちるというわけではありません。
ただし、面接で研究以外のことを聞かれたり、ガクチカで研究について書いて自己PRでも研究について書くということはできないため、研究以外の内容でもある程度話せるように準備しておくようにしましょう。
高校の部活ってあり?
高校の部活でインターハイに出ました!
と胸を張って言いたいところですが、残念ながらこちらは絶対になしです。
まず第一に、ガクチカは学生時代に力を入れたことです。日本語の問題ですが、高校生は生徒で、大学生を学生と言います。そのため、そもそも高校時代の話をするのは設問の回答としては適していません。
上記はやや屁理屈感が否めませんが、高校時代のことを書かないほうが良いもっと大きな理由があります。
それは、大学時代で高校以上のことを学べなかったのか?と思われることです。
就活生にとって、高校の出来事は確かに人生の大きな思い出です。ただ、大学の4年ないしは6年・9年でその経験を超えられない人は、きっとこの先も大きな経験を掴み取ることはできないでしょう。
企業からすると、いくら高校ですごい成果を上げたとしても、大学で新しいことに挑戦しなかったというのは大きなマイナスです。特に研究開発では、まだ誰も達成していないことを自分で考えて遂行しなければならないため、新たなことに挑戦できる学生が欲しいのです。
そのため、ガクチカに高校時代のことを書くよりも、大学で挑戦したことを書くほうが良いでしょう。
各段落での書き方
さて、ガクチカに書く内容が決まったら、次は内容を考えていきましょう。
趣味・特技や自己PRでは研究汎用力をアピールすることが重要でしたが、ガクチカはアピールの方向性が少し違います。
ガクチカは大学に新しく始めたことのためそこから何を学んだか、どう工夫して目標を達成したかなど、過程に焦点を当てる必要があります。
と言われてもあまりイメージできないんだけど…
という人のために、段落ごとに各内容を説明していきます。
ガクチカはおおよそ400~800字程度なので、起承転結に沿って4つの段落で展開していくのが良いでしょう。
第一段落:力を入れたことは何か
第一段落は何を目標(理由)に、何に力を入れたのかを一文で簡潔に書きます。
私は学部時代に新しいことを始めたいと感じ、『イラスト制作』を始めました。
え、これだけ!?
と思うかもしれませんが、第一段落はこの程度で十分です。
ESの基本は結論ファーストともいわれているため、第一段落では『何のために、何をしたか』を確実に伝えるようにしましょう。
第二段落:力を入れた内容・なぜ力を入れたか
第二段落では、ガクチカの内容を記載します。
イラスト制作を始めた理由は、単に紙とペンがあれば行うことができるという手軽さでした。しかし、実際に始めてみると、モデルを観察することで新たな発見が生まれることや、広告や流行りの服装などが何故その配色になっているかを意識するなど、日常生活にこれまでと異なった視点が生まれることに面白みを感じました。
大事なのは、長くなりすぎないことです。
ガクチカの内容を説明するのは大事なことですが、人事が見たいのは次段落の工夫したことです。そのため、自身がどういうことに興味を持ってガクチカを始めたのかを書く程度で十分です。
第三段落:問題点・工夫したこと
第三段落では、ガクチカを行うにあたっての問題点と、その問題点をどう工夫して乗り越えたかを記載します。
最初は思い通りにイラストを描けず、何がどう悪いのかすらわからない状態でした。そこで、インターネットを活用し、同じくイラストを練習する人と繋がりを作ることで自身の良い点・悪い点を明確化しました。その中で、私は圧倒的にインプット・アウトプットが足りないと自覚し、1日最低1枚と決めて模写から始めることにしました。同時に、手本のイラストは何を意識して描かれているのかを観察するように心掛けました。7年経った現在では自身でテーマを考えて0から描くことでき、SNSなどで創作を依頼されるまでに成長することができました。
問題点は簡潔(漠然としていても)に書いて問題ありません。大事なのは、その問題に対しどのような行動をとったかです。
上の文章では『同じくイラストを練習する人と繋がりを作る』とあり、グループで作業することで次のステップに進めたことが書かれています。次の文章の『1日最低1枚と決めて模写から始める』というところから、コツコツと頑張るタイプなのが読んでわかります。
また、第三段落では最後に成果を書くようにしましょう。
上の文章であれば、『7年経った現在では自身でテーマを考えて0から描くことでき、SNSなどで創作を依頼されるまでに成長することができました』とあります。
最初の7年という歳月で、相当な忍耐力・継続力が培われているのが分かります。ガクチカでは何を書くにしても、長期間続けたことであれば歳月を書いて損はないです。
また、客観的な成果もガクチカによって就活生がどの程度成長できたかを示す指標になります。今回の場合は制作を依頼されるとあるため、7年間で就活生が大きく成長したのが分かります。この他、(アルバイトで多いですが)数値を示せる場合などは、しっかりと成果をアピールできるチャンスです。
大事なのは、ここで終わらないことです。
よくあるのが、成果を書いて終わるというESです。勿論、アピールすることは大事ですが、何度も言っているように企業は就活生の成果には興味がありません。
第四段落:ガクチカがどう活きているか
第四段落では、ガクチカを通してどう成長できたかを記載します。
他者の意見は時に独学の何倍も価値があることを改めて実感しました。この経験から、私は研究でも議論を大事にしており、自身と周りを高めていきたいと考えています。
成長したことを無理に研究に繋げる必要はありませんが、その経験を今現在(今後)どのように活かしていくかが大事です。
経験は誰にでもできますが、その経験を糧とできるかどうかは人それぞれです。自分はちゃんと活かすことができる人間だということをアピールするようにしましょう。
コメント