志望動機の書き方

志望動機の重要度は高め

大体の企業は、志望動機の文字数を400字程度に設定されています。

ESの中では比較的重要視される項目のため、要点をきっちりと抑えて書くようにしましょう。

業界の志望動機にならないように気を付けよう

幼いころに祖母が難病で亡くなりました。その時から既に10数年経過していますが、未だにその病気の治療薬は開発されていません。そのため、難病の治療薬を開発し、祖母や私と同じような思いをする人を一人でも救いたいと感じ、貴社での研究を志望してます。

例えばこの文章。言っていることの筋は通っているのですが、数あるESの中から話を聞きたいとは思いません。

なぜかというと、どこの企業にでも当てはまる内容だからです。理由は立派に聞こえるかもしれませんが、これは企業の志望動機ではなく、製薬業界の志望動機です。

じゃあ、どんなことを書けばいいの?

企業が志望動機で聞きたいのは、数ある企業の中から弊社をエントリーした志望動機です。つまり、『この企業でしかできない』と言うことを明確に記載する必要があります。これを書くためにはある程度の時間をかけて企業研究をする必要がありますが、逆にこれを書ければ、ESの突破率は間違いなく飛躍します。

企業の重点領域を理解しよう

企業にはそれぞれ力を入れている領域(重点領域)があります。

例えば、ポカリスエットでおなじみの大塚製薬では、重点領域として『がん』や『精神・神経』などを挙げています。重点領域に掲げるということは、企業にある程度の技術があり、なおかつ社会の需要も高い、すなわち企業がお金を稼げる領域なのです。

しかし、がん領域でお金を稼ぎますと言っている会社に対して『難病の研究をやりたい』と言っても、企業に技術や経験がないため稼げないわけです。

また、採用後に辞めてしまう可能性も高く、企業としてはその人を採用するメリットよりもリスクのほうが大きくなってしまいます。そのため、ESで不合格となる確率が上がってしまいます。

企業の重点領域を理解することが大事なのか!

これはどの業界でもいえることで、食品メーカーでも『冷凍』に力を入れているところもあればお菓子の中でも『チョコ』に力を入れているところもあります。化学メーカーやゼネコンでも、各社で重点領域(どういう製品を主に作っているか)が変わってくるため、企業研究をして企業の特徴をしっかりと理解しましょう。

重点領域については各社HPの研究・開発あたりに記載されています。

企業の強みを知ろう

企業は重点領域のほかに、強みもあります。

重点領域と何が違うの?

例えば、第一三共はADCと言う独自の技術を開発し、この技術を使って新しい創薬に挑戦しています。

従来とは異なるモダリティとして、未だ開発されていない病気への薬の開発が期待されています。

また、旭化成は生活に必須な充電電池(リチウムイオン電池)を開発し、研究に携わった吉野さんが2019年にノーベル化学賞を受賞しています。

旭化成は現在もリチウム電池の最先端研究を行っています。

強みはわかったけど、専門分野が違うから志望動機には書きづらいなぁ…

確かに、『強み』と言われると、専門分野が近くなければ書きづらいように感じます。

しかし、第一三共はもともと低分子医薬に強い企業でしたが、バイオ技術を取り入れることでADC技術の開発に成功したと述べられています。また、旭化成の吉野さんも、様々な分野が混ざる化学メーカーだからこそリチウム電池を開発できたとが述べています。

つまり、革新的な技術の開発には多分野の融合が重要であり、こういった強みを持っている企業は、そのことにも十分理解があります

特に、企業は2年~5年程度しかしていない専門分野をそこまで重要視していません。

企業の強みと自分の強み(考え方や、研究の進め方など)をどう融合させ、どのような結果をもたらすことができるかをアピールできれば、人事にとっては話を聞いてみたいという内容になるはずです。

上に挙げた2つは日本を代表する企業ですが、どの企業においても何かしらの強みが必ず存在します。

分野が違うから……と諦めるのは簡単ですが、むしろ他分野に飛び込んでいくというチャレンジ精神をアピールする場として、企業の強みに重ねて志望動機を書くことを意識しましょう。

企業理念を理由にするのはやめよう

企業は重点領域・強みに続いて、企業理念も必ず掲げられています。

企業は社会の公器であり、その事業を通じて社会に貢献する(東レ:化学メーカー)

「地球に優しい」リーディングカンパニー(大林組:建設)

水と生きる(サントリー:飲料メーカー)

企業理念は『会社の存在意義』と言われ、一般の人に向けたメッセージでもあります。そのため、どこの企業も基本的には良い印象を与える内容を掲げています。

企業によって書き方は違うけど、どれも社会貢献に近いのかな

しかし、企業の目的は何かと問われると、それは間違いなく『お金を稼ぐこと』です。つまり、企業理念は『お金を稼ぐこと』の建前と言う役割を果たしています。

勿論、建前だとしても企業は掲げた理念に沿ってある程度の方針を決めますが、それは経営管理職や役員など上層部の話です。そもそも、研究成果が無ければ(=お金を稼ぐことができなければ)社会貢献なんてものは妄言に過ぎません。

つまり、研究・開発では成果を出すことのほうが重要であり、研究・開発に強い意志を持つ学生を採用したいと考えます。企業理念に共感したのであれば、株式を買うなり、製品を買うなり、消費者として企業に貢献すれば十分です。

そのため、研究・開発職で企業理念に共感したと言う理由は志望動機にするにはとても弱い内容となってしまため注意が必要です。

社会情勢を頭に入れておこう

上記のほかにもう一つ考慮する内容として、社会情勢が挙げられます。

最近ではよく耳にするSDGsなんかはどこの企業でも意識せざるを得ない状況であり、一部の企業では企業理念で触れられてたりします。

環境問題や新型コロナウイルスなんかがこの部類かな

企業研究では社会情勢を考慮して、数年後のニーズを見つける必要があります。そのため、面接では稀に社会情勢を聞かれることもあります。

文字数制限があるESに無理に入れる必要はありませんが、面接でスムーズに話すためにも、自身の研究や考え方との繋がりを意識しておくと良いでしょう。

志望動機は必ず具体的に書こう

以上のことを意識して、志望動機は具体的に書くようにしましょう。

書くにあたり、以下の項目を書くようにすれば、自然と具体的な内容になります。

  • どういう目的で(自分の経験や気持ち)
  • どのようにして(企業の重点領域や強みと絡める)
  • 何をやりたいのか(自身の専門性や、大学で学んだことを中心に)
  • 何故この企業なのか(企業の重点領域や強み・企業理念と絡める)

要点さえ押さえれば書きやすくなった!

志望動機を書くには企業研究が必須となりますが、ESの突破率に大きくかかわるので、時間をかけて書くように心がけましょう。

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