ここでは最近話題の昆虫食について『ゴキブリの食品化』を疑似的なテーマとして、概要を作成しながら解説していきます。
(就活に使った研究概要は秘匿事項の関係で使えないため、研究生活に則った空想で説明していきますが、あくまで空想であり、根拠・データ等はありません)
研究概要における比率
背景・目的は研究テーマを知ってもらうために最も重要な部分です。
しかし、説明が長くなりすぎるとアピールしたい研究成果の比率が減ってしまうため、比率としては20%程度を目安としましょう。
文章の構成
背景・目的の伝わり方によって、この後に記載する項目(問題点・研究成果・研究の展望)の理解度が大きく変わってきます。そのため、説明は重要な部分に絞り、何よりも簡潔かつ分かりやすい文章を意識しましょう。
構成としては、研究分野の背景・研究テーマの背景・研究テーマの目的で段落を分け、いずれの段落も2~3文程度で纏めると、分かりやすく伝えることができます。
研究対象と課題
まずは、自分が扱っている研究対象が何か、社会的にどういう立ち位置にあり、どのような課題があるかを説明します。
研究対象について知ってもらうことが目的だね!
研究対象と言っても様々ですが、大事なのはどの専門分野の人でもとっつきやすい(=続きを読んでみたいとなる)ことです。そのため、広すぎず狭すぎないことから話を展開しましょう。
例えば、疑似テーマでは『昆虫食』が対象となりますが、その背景にある食糧問題から入らなければ読み手は理解できないため、まずは研究分野の背景から文章を組み立てていきます。
現在の世界人口は約80億人にのぼり、今後も予想される人口増加に伴って世界レベルでの食糧不足が懸念されている。特に動物性タンパク質はヒトの成長に欠かせない栄養素であるが、その主供給源である家畜の飼育には広大な土地と膨大な飼料が必要である。そのため、人口増加に合わせた増産が極めて困難であり、家畜の代替となる新たなタンパク質源が期待されている。
研究テーマの背景
続いて、自身が行っている研究テーマの背景を説明していきます。
多くの場合、研究室で既に取り組んだ・明らかにした情報について説明することが多いでしょう。
研究テーマを始めるきっかけとなった概要について書く感じかな
注意しておきたいこととして、重要ではない用語については記載しないことです。
研究を数年間行っていると研究テーマに関連のある用語が多くなってきますが、研究の全てを説明する必要はありません。研究成果で説明したいことだけを記載し、無駄な単語は書かないように心がけましょう。
当研究室では新たなタンパク質源として、動物性タンパク質が豊富な昆虫の食糧化について研究を行っており、ゴキブリが豊富なタンパク質と食肉に劣らないレベルの高い栄養価を有していることを明らかにした。また、ゴキブリは繁殖力が高く雑食性であり、安価な飼料かつ小スペースでの繁殖に成功している。このことは資料・設備ともに低コストでの繁殖が可能であることを支持しており、ゴキブリが食肉の代替となり得ることが示唆された。
研究テーマの目的
最後に、研究のテーマの目的を書きましょう。
ここで気を付けて欲しいのは、目標ではなく、目的を書くということです。
目標と目的の違いって何!?
目標とは目指すべき研究成果であり、多くの場合はタイトル通りの内容になります。
疑似テーマの目標:理系大学院生向けの就活術ウェブサイトを構築する
これに対し、目的とは目指すべき社会貢献であり、研究成果を利用することで社会にどのように影響を与えるかになります。
疑似テーマの目的:理系大学院生の就活について情報を公開することで、大学院生の研究と就活の両立化に貢献し、大学の研究力の促進を目指す
目的と目標についてはこちらの記事で説明しています。
以上を踏まえて、研究の目的を説明していきます。
ゴキブリは栄養価が高く供給も安定化しやすいことから、次世代の食品として食糧問題を解決することが期待できる。また、雑食性のゴキブリは生ごみ等の廃棄物を飼料に適用でき、環境問題の解決策として付加価値を提供できることから、本テーマに着手した。
強調を忘れずに
3段落が完成したら、あとは文章を繋げるだけですが、大事な部分に強調するのを忘れないようにしましょう。
なお、強調は多すぎると逆効果になってしまいます。
疑似テーマの文章を強調するのであれば、このようになります。
現在の世界人口は約80億人にのぼり、今後も予想される人口増加に伴って世界レベルでの食糧不足が懸念されている。特に動物性タンパク質はヒトの成長に欠かせない栄養素であるが、その主供給源である家畜の飼育には広大な土地と膨大な飼料が必要である。そのため、人口増加に合わせた増産が極めて困難であり、家畜の代替となる新たなタンパク質源が期待されている。
当研究室では新たなタンパク質源として、動物性タンパク質が豊富な昆虫の食糧化について研究を行っており、ゴキブリが豊富なタンパク質と食肉に劣らないレベルの高い栄養価を有していることを明らかにした。また、ゴキブリは繁殖力が高く雑食性であり、安価な飼料かつ小スペースでの繁殖に成功している。このことは資料・設備ともに低コストでの繁殖が可能であることを支持しており、ゴキブリが食肉の代替となり得ることが示唆された。
ゴキブリは栄養価が高く供給も安定化しやすいことから、次世代の食品として食糧問題を解決することが期待できる。また、雑食性のゴキブリは生ごみ等の廃棄物を飼料に適用でき、環境問題の解決策として付加価値を提供できることから、本テーマに着手した。
フローチャートを入れよう
最後にフローチャートを作りましょう。
簡潔な文章を心掛けているとはいえ、言葉だけでは伝わりきらない部分もあります。また、図で全体概要を見せることで読み手の理解度は大幅に上がります。
フローは文章構成と同じく研究分野の背景→研究テーマの背景→研究テーマの目的にすると、文章とも比較できるのでおススメします。
疑似テーマでフローチャートを作るならこのような感じになります。
可能であれば研究対象の写真や化学構造など、イラストではなく研究対象そのものをフローチャートに入れると良いでしょう。
フローチャートだけでどういった研究をやりたいのか分かるような気がする!
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